いつもと同じ暑い夏・盆


ユキのない冬のあとは、冷夏だと言っていたのは誰?

驚くほど涼しくなった朝方とはがらりと変わり、昼も間近になると気温はぐんぐんと登り初め、北国の人間では限界の30°を優に超え始めたお盆です。いつものように両親や子供と共に墓に向かいます。本来なら少し涼しくなる夕方なのでしょうが、あまりの混雑に車さえ止められなくなるので、気温最高を叩き出す昼過ぎに向かうのでした。
線香の臭いと、暑いけれど穏やかに流れる墓の前の時間が好きです。此処に入っているご先祖が、歴史をかいくぐり平穏で居てくれたから今のワシらがいるのだという奇蹟をかみしめてお盆。

実家の仏壇の前で、昼食後まどろみ夢を見る。詩を書いていた。ああ、24歳で亡くなった我が墓の中の詩人孝太朗だろうか。ワシらは結構楽しくやってますからと、感謝する。
夕立が来たあとの南向きの縁側。煙る土の臭いにむせるように、激しい雨音だけが聞こえる。雨を見る。さっきまでとはうって変わった冷たい空気が、縁側から後ろの薄暗い部屋にすうと流れて、奥から猫がにゃあと出てくる。いきなり飛び込む稲妻の光にも、さして驚かないほどの、本当のゆっくりした時間。
その原風景を思い浮かべ、ああ、私もこれは随分昔から知っていますよと、心で思う。

それを書とめながら、縁側に寝転んでいる私が仰向けになりふ~っと深く息を吐いた。


良いお盆です。

Posted: 土 - 8月 13, 2011 at 11:12 午前        




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