医療券っていったい・・・


いつの間にか、美容院のタダ券と同じだと思われてる

最近医療券トラブルがいくつか散見されるようになりました。医療券とは、一定額の収入が無い家庭の子供が、検診において治療勧告を受けた際、処置内容の一部負担金を助成する仕組みなのですが、これが最近勘違いされているんですねぇ。

20年ほど前なら、かつてのお母さんたちは、医療券の使用に明らかに抵抗があった。別に使わなくともイイであるとか、あるいは本当にこう言うものを使わなければならない自分の環境を恥じて、世の中に申し訳ないと言う気持ちがひしひしと伝わってきていたんです。ですからこちらとしてもできる限りの事をしてあげたかったし、あるいは何故医療券での治療に制限があるのかと言うような憤りを感じて議員レベルに陳情もしたものです。その甲斐あって、民主党の櫻井議員などの活躍で医療券における治療範囲は飛躍的に広がったのでした。

ところがです。最近この医療券をお持ちのお母さんから信じられない言葉を聞くんですよ。
「医療券で治療費がただだと聞いたので子供を連れてきた。」
勘違いも甚だしいし、それよりも何よりも、自分の収入の少なさから来る不都合を、多くの人の援助で何とかやりくりさせていると言う仕組みも理解できず、揚げ句に感謝すらしないどころか、、、本末転倒で驚くのは「ただだと思って連れて」来られた子供で、治療が先じゃなく治療費が先。子供の事より自分の事の方が大切だから、治療費は今はきついけれど何とかこの子の治療をお願いしますと言う気持ちなど微塵も感じられない。こんな親が増えていると言う事は、この子たちはいずれこう言う親になると言う事であり、この国の危機的な状況をたかが医療券でかいま見る恐ろしさなのです。

医療券で診る事の出来る事以外の処置や診断を提案すると、治療勧告書以外の治療をさせられたという被害消費者意識丸出しの感想を、同じような境遇の仲間同志で派手に共有する姿は、親としての情けなさや残念さを通り越し、我が国に蔓延している知識格差がこうも酷いのかと悲しくなるのですね。
見事に教育の荒廃を絵に描いたようなお手本のお母さんたちをどうやって救ってあげられるのだろうかと、一診療所の歯科医師として多いに悩むのです。

教育レベルの低さと、個人主義、利己主義、そして消費者意識。サヨク思想の大成功ですな。何も知らない子供が哀れです。

Posted: 水 - 8月 11, 2010 at 11:59 午前        




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