社会保障審議会医療部会


だから、高齢者にとっての歯科はひどく重要だってば

2月17日に開かれた厚労省社会保障審議会医療部の会合の中で、在宅医療に於いては、歯科に於ける専門的ケアをになうスタッフの役割は非常に大きい、、という今更ながらの話だけれども、当たり前に嬉しい話題が大いに出て来て、社会保障の中での歯科のあり方を再確認するような形になったと思うわけです。在宅医療連携ではまだまだ歯科診療所からの歯科医療情報提供が不十分との意見も多数あり、歯科医師自身が多くの情報を医師が求めている実態を理解しなければなりませんね。とは言っても、じゃあ、医師が何処まで歯科医療を理解しているかと言えば、多分ほとんど素人の域を出ないわけでこれはお互い様なわけです。だから連携が非常に必要だと言うことですか(笑)。

在宅を多くおこなわれている先生方ならおわかりかもしれませんが、こちらが元気なら(笑)寝たきり脱却プロジェクトとかやろうと思うわけですよ。寝たきりにならない歯科的サポート、なったら起き上がるまで歯科的補助を続ける、今は色々な取り組みが紹介され中には驚くような効果も。昨日まで寝たきりだった人が補綴1つで此処まで回復、、とかね、以前から良く聞きますよね。ワシは否定はしませんが、全部が全部ではないことを何度も経験しましたから少し冷静に考えてはいます。寝たきり要介護レベル高位の方のQOLってなんだろうかという議論は今のところ全くありません。ですからこんな話も聞こえてきます。
介護度が上でしかも認知症が入ると、出来れば歯は無い状況で総入れ歯であってくれた方が、口腔ケアに関わる様々な事例に対応できる。。。耳を疑うような話ですが、これが現実です。治療もままならない残存歯牙を沢山抱えて辛い思いをするよりも、いっそのこと一度全麻下で抜歯して、長期のケアに耐えられる口腔内を希望すると言うわけです。

これは本当に複雑な話です。実はこれに加えて、認知症の度合いによっては、残存歯牙は明らかに凶器となり得るわけで、以前からワシが言っている顎口腔系の働きで重要な項目であるストレスマネージメントの発生学的な考察を逆に遡れば、認知症に於ける原始帰りこそ、快不快の古い大脳皮質に大きく左右される訳で、凶器になるのは当たり前の事。これは、介護の現場の壮絶さは想像に難しくないでしょう。とてもじゃないが口腔ケアなんて。。。。

もう一つ、、、約20年前に非常に高名なMR先生が警告したインプラントと高齢者。ワシらは寝たきりにならないように最終手段としてのインプラントを選択するのですが、他の事由で寝たきりや要介護認定の高度になった場合、インプラント自体が介護の現場で足かせになることも承知しておかなくてはならないわけで、此処に加えて先ほどの医療連携が取れない状況が続けば悲惨な状況は目に見えているわけですよ。
インプラントロジストを自称する偉い先生方になりたいと思っている若き歯科医師に忠告するが、絶対最後まで面倒見るつもりで腹をくくれよ。ワシら世代は腹くくっているから。間違っても、健全前歯6本抜いてインプラント埋入するようなバカなまねをして「こちらの方が歯科的リスクが少ない」とか言うIIZM先生のようになっては、まるで倫理もへったくれもない、することが目的!みたいに成り下がるぞ。。。と、これからの課題、高齢者インプラントでふと思うわけですな(笑)。

しかしなぁ、可能な限り歯牙保存という正義が通じないかもしれない新しい世界に、ワシはどっぷりとそしておいそれと入っていけるだろうか??

Posted: 月 - 2月 21, 2011 at 07:25 午後        




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