救急歯科医療チーム八戸その2


田老ではフェーズ2及び通常診療に移行しています

突然の4月7日の地震で停電となったため、4月8日に予定していた2回目の出動は土曜の9日に急遽変更になり、ワシと小澤先生、そして2名の衛生士、技工士1名で出動しました。目的は、診療室の形成です。初日の段階で非常に緊急要素が強かった診療場所を、あくまでも仮設診療所として機能させるためには色々な工夫が必要になります。午前中一杯かかって、当主である山本先生と共に、持っていった材料の機能的配置や機材の配備をおこない、何とか診療室らしくなりまして、技工室まで石膏トラップを作成し作り上げましたし、カルテの整理等も含めた事務整理のウエイトもこれから大きくなってくるわけです。午後からは、ついにフェーズ2への移行を実現するべく、新義歯の印象バイトに取りかかりました。

当初の予定では、宮古市の歯科医院まで、バスで40分かけて行って新義歯を作成するしか方法がなかったのですが、足腰の弱い方や移動しにくい方は、基本的に新義歯はあきらめてくださいと言う事でもあったわけです。そうでない方も震災から1ヶ月、我慢に我慢をしてきたわけですからね。そりゃ来られた患者さんは皆さん大喜びで印象とらせて頂きました。型どりしてから小一時間も待ってもらい、バイトも取り、次回一週間後にできあがりという超特急です。もちろんその後の調整もそれなりに必要でしょうが、もう、此処の避難所には歯科医院があるんですから大丈夫です。

次の日10日も朝から、今度はワシ、柄本、柳田、岡田、熊坂(克)、小澤、村岡のドクターの面々。盛岡から2名のドクターの計8名布陣。青森県保険医協会からは患者さんの搬送やサポートのため事務局2名、衛生士は4名、技工士は3名の計16名という大きなチームでした。薄木先生から借りているポータブルのデンタル撮影機器も威力を発揮し始めます。中古のユニットを手に入れ、電動椅子として使用します。無影灯付きです。ポータブルユニットとは言え当たり前の診療室がどんどん形作られていきます。ミッション2の目的の1つである、仮診療所の施設サポートが実現しました。そして、通常の診療が粛々とスタート・・・と言っても、やはりまだまだ多くの患者さんがおりますので、材料の目測を誤り、技工部では持ってい行った石膏が底をついたり。28名の患者さんを8名のドクターが3ユニットで治療しました。津波で義歯を失った車いすの患者さんまでサポートするなんて素晴らしいじゃないですか。もう義歯を作るのは無理だと思っていた、本当に助かる、こんな言葉ばかり聞こえてきます。

ワシら皆は、こう言う場面で何を考えるかというと、歯科医療の原点な訳です。この国の厚生行政の狭間に追い込まれないがしろにされている歯科医療が疲弊して、米国から見栄えのいい話が流れ込み、あたかもそうでなければ歯科医業が成り立たないかの錯覚に襲われ、デンタルビジネスの渦中に巻き込まれ、ふと気がつくと何も出来ない歯科医師がいるのです。ホワイトニングや口臭やデンタルエステが歯科の本質だと誰も思っちゃいないでしょうが、渦中では、当たり前の歯科医療が出来ない自分に気がつかないのですよ。これは、参加した技工士にも衛生士にも言えるのですね。技工士は与えられたモノから必要なモノを如何に作り上げていくか大変な腕と頭を使います。衛生士は医療の原点に於ける衛生士としての原点を知るわけです。体と心が共有してこそ患者に思いが伝えられる訳です。ワシらは、本当に素晴らしい体験をさせて頂き、田老の避難患者さんや当主の山本先生に本当に感謝いたします。

そんな中、非常に不愉快な出来事。某同窓会と名乗る集団が、患者も術者も真剣に取り組んでいる場所に挨拶も無しに土足で上がり込み、挨拶も無しに写真を撮りまくり、当主の先輩なのか何なのか知らないが、診療室では「あれは何だ」「何は出来るのか」「これじゃあダメだろ」等々無駄話。実に持って非礼きわまりない行動。被災された患者さん目の前にいるんですよ。
さすがにプロジェクト責任者としてぶち切れそうになったが(笑)大人の対応として「統括責任者ですが、写真を撮りたいのですか?(-_-#)」など、同窓の先生もいることだし少し気を遣ったりしてみたもの、出入り口は占有して身動き取れないし、患者の出入りを妨げるは、たむろしてかっこわるいわ。まあ、調査してからどういう風に支援できるかと言う事なのでしょうが、もう1ヶ月以上経過しているんですけれど。当日のスタッフ全員に大ひんしゅくを買っていたことは覚えておくべきです。あ、帰るときですら最後に挨拶すらしない非礼も付け加えておきます。話になりません。
そう言う方々、これから先、まともに被災地の歯科診療システムなど構築出来るのだろうか?炎上覚悟で言わせてもらえば、もし彼らが歯科医師なら歯科医師としての資質を疑うとまで言っておきましょう(笑)。それほど非礼だったと言う事です。

さて、それもそれですが(笑)彼らには患者さんより大切なメンツやプライド等々色々ありますわ。ワシらはそういうことは全く興味がありません。ですからフェーズ2への移行もすんなりいきそうですし、これからワシらのチームは少しずつフェードアウトしていく準備にも入るのですよ。1ヶ月もしたら、何事もなかったかのように上手く消える準備も大切なことです。
早く上手く仮診療所として、万全に機能してくれることを切に願うばかりです。もう少しです(*^_^*)vみなさんがんばりましょう。



Posted: 月 - 4月 11, 2011 at 12:59 午後        




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