咬合器を用いた後方からの下顎運動の推察.1

咬合器の動きはご承知のように側方運動から前方運動を経由して反対側の側方運動までの経路しか確認できません。

我々は下顎運動を考える際に基本的には自然頭位を基準にして考えます。つまり、セントリックをとる場合、直立した場合の下顎位を想定して咬合採得します。しかし、日常生活において常に自然頭位の状態で生活しているわけではなく、色々な頭位のもとで生活し、咬頭嵌合位へ入り込みます。特に就寝中は寝た状態から咬頭嵌合位へ入り込みます。

咬頭嵌合位を与える際に、閉口運動を考えますが、そのポイントとして筋肉の作用において、下顎骨が持ち上がり(閉口して)ある時点において、どこかの歯牙が接触し、そこからスライドして咬頭嵌合位へ移行しますが、この2つが一致していればそれに越したことはありませんが、咬合器上で考え、与えることが出来るのは、自然頭位の場合のみで、かつ、まっすぐ咬み込んだ場合です。上述のように日常生活において、自然頭位の時ばかりではありません。従って、その時に考えるのが「ガイド」という概念です。前方から入ってきた場合、側方から入ってきた場合、どこの歯のどの部分でガイドさせて、咬頭嵌合位へ咬みこませるか・・。そのガイドとなる歯は顎関節から出来るだけ遠い歯の方が良い・・と言うことで、我々は犬歯誘導・ディスクルージョンという咬合接触様式を与えるように努力します。しかし、ここで概念に無いのが後方からの入り方です。

しかし、この概念をどういう患者さんのどういう状態の時に考えなければならないのか、もしくは考えた方が良いのか自分もあまり良く解りません。しかし、4番の補綴物を作成する場合は、絶対に念頭に入れておかなければならない事だと思っております。

これを1つの症例を使いながらご説明させていただきます。

みなさんのご意見をお願いします。

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