総 義 歯 の マ ウ ン ト

    

さて、皆さん。総義歯のマウントを考えてみましょう。

通法に従って、スナップ印象を採り、診断用模型を作り、個人トレーを作り、ボーダーモルディングをし、ファイナル印象を採り、ボクシングをして、作業用模型を作ります。(え?何だそれ・・・・。そう言わないで下さい。ここは「咬合と咬合器のページ」す。)そして、通法に従って咬合床を作ります。

総義歯咬合床作製のポイントはこちらをご覧下さい。

ここからが、本題です。

    

1. 咬合採得

 基本的に咬合関係が失われた患者さんの咬合平面を再構成する場合、カンペル平面を基準としてされるのが原則です。ですから、上顎の咬合平面(この場合は、基準平面)はその患者さんのカンペル平面に平行になるように設定します。上顎の咬合平面が決定したら、咬合採得に入ります。

そのポイントは   

 歯科医師が上顎咬合平面を設定している間に、下顎咬合床のワックスをお湯の中に入れ均等に軟化する。(これをスパチュラで軟化すると、せっかく軟化した片方がもう片方を軟化している最中に硬化してしまい、左右均等に軟化するのが難しい操作になります。)

 咬合床で咬合採得する際の一番のポイントはワックスを均等に軟化するということです。それにはお湯で軟化するのが一番です。それでも、咬合床での満足のいく咬合採得はかなり難しい作業です。ですから、ここでの咬合採得は一応仮の垂直的咬合高径のみを設定し、最終的な咬合採得はゴシック・アーチで決定する!と考えた方が気が楽です。

ゴシックアーチ描記法による顎機能診断のポイントはこちらをご覧下さい

咬合採得のチェックポイントはこちらをご覧下さい。

  

2. 咬合器付着

ここで問題になるのは、その咬合器が、

a)フランクフルト平面基準の咬合器なのか、

b)カンペル平面基準の咬合器なのか、

c)もしくはそのどちらでもない、いわゆる小さな咬合器なのか

によってマウント方法が違ってくると言うことです。

c)いわゆる小さな咬合器に関しては こちら で説明します。

 咬合器付着のチェックポイントはこちらをご覧下さい。

  本来、下顎位や下顎運動を測定するときの基準面及び、上顎模型装着の基準面としてフランクフルト平面が使われてきました。ですから、咬合器の歴史を見てみると、フランクフルト平面基準の咬合器が圧倒的に多いのはそのような理由からです。しかし、失われた咬合関係を回復する際カンペル平面を基準とすることが一般的なことから、近年、カンペル平面基準の咬合器が多く開発されるようになってきました。

自分が患者さんから記録したカンペル平面がそのまま咬合器に再現できれば、それがそのまま咬合平面の基準となります。ですから、フェイス・ボウを用いない場合、カンペル平面基準の咬合器にマウントした方が楽ですし、認識しやすいです。

        

(総義歯作製:箱石歯科技工所 箱石哲郎氏)

え?これじゃ、模型の前後的な位置関係が不確実じゃないか・・・って?

はい。それでは有歯顎の咬合器付着にまいりましょう。

  

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